遺伝疾患専門の看護師に期待されること

特定の分野の専門知識や経験が備わっていることを証明する専門看護師の資格に、遺伝分野の専門看護師が存在します。遺伝疾患は、疾患を発症する前からある程度発症が予測することができます。そのため、発症前から発症後の生活をシミュレーションしたり、人生設計を考えたり、発症を遅らせるための予防策を講じたりすることが可能です。

このような医療は予測医療と呼ばれ、ケースによっては疾患を発症していない健康な人にも医療を提供する特別な分野です。遺伝看護専門看護師は、予測医療において、遺伝疾患について深い専門性を持つとともに患者やその家族がより良い人生を送るためのサポートをすることが期待されています。具体的な職務内容として、まず患者が自分の人生をどのように生きたいのかというニーズをつかむことがあります。進学や就職、結婚など患者の意思決定が必要な場面で、患者の望む選択肢が可能かどうかや可能にするためにはどのような対策が必要なのかを一緒に考えていくのです。

また、遺伝疾患は、自分の心掛け次第で避けることができるわけではないので、患者や家族の心理的な負担が大きいのです。不安を抱える患者や家族に正しい知識を提供し、寄り添っていくことも大切な役割です。また、研究者として医師や他の医療従事者とともに遺伝疾患や予測医療について研究していく役割も期待されています。自分で簡単に遺伝子検査ができるキットの開発や、遺伝疾患を抱える人に対するカウンセラーの養成などがすでに行われています。